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好きなものを語ります。 本宅(http://chickpig.nobody.jp) 整頓中。

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2024 
September 17
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2012 
September 09
山田が見たい!」という友達と
キャラメルポップコーンが食べたい!」という私のニーズが一致した結果、
観にいってきました、池袋シネマ・ロサ。
 
 
結果
SAN値が大幅に減少しました。
 
この話から得た教訓
・借金怖い
・まっとうな労働は尊い
・自己責任の範疇を逸脱するような真似はすまい
 
 
大前提としてそもそも私の得意分野ではないですし、
それはもう色んなシーンでうっぎゃああああと思ったし
テーマがテーマだけに男も女もクズばっか出てきますが!
だがしかし!
そこまで条件が揃っているにも関わらず、
私の活火山(※こりゃひでえ!と思う作品や
生理的嫌悪感を感じる作品にあたると噴火する)は終始穏やかでした。
ちびるセンサーはフル稼働してましたが。
 
鑑賞中や鑑賞直後はSAN値の減少によってぐったりしましたが、
落ち着いてから思い返してみると作品としていろんなバランスがとってあって、
あれ?うまいなー!としみじみ感心しちゃう感じ。
 
この内容でPG12はちょっとぬるいぐらいじゃないかと思ったんですが、
この先どちらへも転び得てしまう若い子こそ観てみるべきなのかも…
と思わせるようなつくりになってます。
 
体面や見栄だけはほどほどにしてシンプルに生きようとか、
闇金に足突っ込むような生き方はやめようとか強く思う意味で、
ある意味非常に訓話的なよい映画なんじゃないでしょうか。
(不定の狂気に陥った瞳で微笑みながら)
 
でも確実に見る人を選びます!
あらゆる理不尽な暴力暴行強姦拷問てんこもりなので、
間違っても年頃の子供連れで行かないように!
可愛いタイトルに騙された結果、気まずくなること請け合いです。
続きは安定のネタバレ感想です。いつものごとく長いです。
 

野心を抱いたチャラ男がだんだん狭い道に追い込まれ
転がり落ちるようにクズになっていく様が克明に描かれています。
 
 
学歴も金もないし、という理由で今の自分を肯定できず、
人脈を元にのし上がっていこうと目論むチャラ男・純。
大きなイベントサークル・BAMPSの代表で、
若者文化に疎いお姉さんは既にイベントサークルの意味がわかりません
『携帯3つに3000件のアドレス』というネットワークが武器。
そういう膨大な量を管理できる力や、人を集めてイベントの企画や主催が出来る能力はある。
でも明らかにもうキャパオーバーしてる。
細かい借金も積もり重なり、メンバーにも便利屋扱いで舐められているし
純自身も彼らを大事だとは全く思っていない。
損得勘定だけのお付き合いだから、誰も信用していない。
『野心はあるけど軽薄で中身がない、でも特別悪人ではない』
というのが総評ですが、結果的にクズになります。
あ、役者さんうまいですマジチャラ男。
そして闇金一味にチャラ男チャラ男言われてるのがちょっとおかしかった…
 
周囲の人間も総じて理不尽で強引で品がなくてろくでもなくて、
純自体はどちらかといえば中盤まで皆の機嫌とって耐えてる感じだったので
「もう無理すんな、あああもう危ないから、もうそこでやめとけ…!
とわりと同情的に見ていたんですが、
そもそも周りにこういうのしかいない時点でこいつもかなりアレだったのだと
観終わって気づきました…怖い、繋がりが軽薄この上ない若者社会怖い。
 
 
そしてもう一人の主人公、みこ。
母親が働くスナックで土日にバイトしているけど、基本は何もしてない(と自分で言っている)
その母親はギャンブルで借金を重ねていて、家で売春もしている。
みこは借金の利息分を払わされることになった上、
挙句の果てに売春を強要された結果、家出。
出会い系カフェで稼ぐが売春はやらない。やりたくないと思っている。
 
途中で「あ、多分純は転がり落ちて、みこは戻れる役回りだな」って気づくまでは
この子もすれてしまうのでは…と本気で心配していましたが、結果的にこの子は踏みとどまりました。
売春するしないじゃなくて、心が取り返しのつく状態に戻ったという意味での『踏みとどまれた』
 
ところで私の家はテレビがない為アイドルや芸能人に全く詳しくなく、
スタッフロールまで気付かなかったのですが、
みこ役の子はAKBの大島優子ちゃんだったのですね。流石に名前は知ってるぜ!
それをしってたら前半の心配もしなかったぜ…
(アイドルにこれ以上はさせないだろうという意味で)
 
演技すっごく自然で上手でした、なんてわざわざ書くとアイドルへの偏見になるのかな。
でもアイドルと知らずに見たんだし、知ってから感心したくらい良い演技だったので、
ちゃんとした評価として書いておく。本当上手かった。
笑顔が可愛いのは勿論、ドン引きしてる時の顔や悲鳴も自然でするっと見ることができた。 
 
ウシジマくんはかっこいいです。
軽薄で無駄な動きの多い若者たちと対照的に、
肩が揺れない。表情も動かない。
動作は基本的にゆったりで寡黙。
しゃべる場合も声も極力抑えて荒げない。
話す内容は短いけど的確で、頭の回転早そう。
俳優さんはそんなに大きくないんだけど、威圧感がある。
「明らかにカタギの落ち着き方じゃない感」素晴らしい…
 
怖くてやり手だけど社長大好きで意外と明るい柄崎さんも好きだし、
おそらく一番若いんだろうタカダ?だったかな、カラメルソース超多めプリン頭の子がすっごい美形でした。
普通にお仕事してる事務員の女の子と
途中で出てくる青森訛りの細くて背が高い千秋ちゃんが癒しだったんですが、
あの子は原作で一度主役はったりした子なのかなー、原作気になるなあ。
 
というか闇金一味はみんななんとなく仲良しで、
ウシジマ社長は部下にめっちゃ慕われてるし
彼がパクられた時には皆必死で対処に奔走するし、
少人数経営のせいかフットワークめちゃくちゃ軽くて社長自らどこにでも取立てにいくしで、
完全にこっちサイドからのお話が見たかったー…!って感じでした。
それならまだちょっと俯瞰できたのに!っていう。
 
あいにく追い詰められていく純とみこが主役なので、
2人を取り巻くベクトルの違うクズ模様が見所(?)です。
純は男の見栄やプライドや意地ゆえの破滅、みこは性と金について。
まあどっちも見ててつらいさ…!!
 
立場が強いことを理由に無理を押し付ける大人共も、
自分の金じゃないのに散財して偉ぶる子供も、
実の娘に売春をもちかけることのできる母親も、
欲と金で若い女の子を買うくせにその子を蔑む男も、
自分より弱い人に簡単に暴力を振るえる奴も、
暴力を脅しにして金をむしりとろうとする奴も、
みんなみんな理不尽で清々しいくらいにクズです。
 
犯罪で非合法でも一応「仕事」として動いている闇金一味のシーンのほうが癒しになるぐらいに。
 
同じく暴力的で怖かった邦画作品としてはアウトレイジが出てくるんですが、
ウシジマくんに出てくる人たちは、いわゆる裏街道歩いてる人たちではない。
覚悟も何もない普通のクズなので、逆にすごく醜いです。
分かるだけに、うぐぐってなっちゃう。どうやって逃げればいいのって思っちゃう。
純がナオヤ?(だったかな、強姦魔だったが故に制裁として拷問を受ける)を助けるために駆け回るのも、
ナオヤを助けるためじゃなくイベントを間近に控えたサークル守るためだしな…
金を貸してくれる相手ではなく信頼できる相手はいなかったのか、
関係ない家族の命で脅される時すら、警察に行くことは選択肢になかったのか、って
なんていうか、残念な奴なんだ…純…
 
あ、性犯罪はいい加減殺人と同程度の重罪にすべきだと思うし、
性犯罪者の人権を守る前に周囲を守る処置が必要だと思います。切実に。
 
にくまむし(名前もすげえ!)の話の通じなさがすっごい怖かったんですけど、
確実にクリティカルヒットしてるウシジマくんの拳や蹴りを
何度も叩き込まれても平然としてて、
車ではねられて腕折られてやっとダウン、みたいなあのタフさがまた怖い。
 
ウシジマくんが戦ってるのを見た瞬間、
何も考えてないだろう瞬時の判断で手近にあったパイプ椅子振りかぶって
後ろから敵に殴りかかった千秋ちゃんがすごく好きでした。
いやあっさり壁に叩きつけられてダウンしちゃったし、
むしろあれで標的が移ったら本当危ないので無謀にも程があるんですけど、
逃げるでもなく怖がるでもなく、とにかく加勢しなきゃ!助けなきゃ!って方向に
廻った思考回路がすごく愛しい。
っていうか闇金一味に千秋ちゃん大事にされてて可愛い。
ダークサイド一味のお姫さま可愛い。
「乗るのか、乗らねえのか」とか
(このシーンは観客席から「かっこいー…」的なさざめきが出た)
「来月から新しい仕事だろ」とかね、心憎いよね。
終電も終わっただろう時間帯に道路に放置したりするけどね!


 
純の結末として、樹海に縛られて放置されるんですが。
助かるかもしれない最後のチャンスの際に、
「自分の始末は自分でつける」とかっこつけて電話をきっちゃうんですよね…
 
いや、みこ的にはそれで本当によかったと思うし、
みこが関係ないトラブルに巻き込まれなくてよかったと思うけど。
だってそもそもこいつ、彼氏ですらない分際で
女の子に「売りやって、そのお金を俺に貸してよ」って言える奴だし。
罪悪感のない顔でそれを言えるとこまで落ちちゃった男ですし。
 
普通に考えて記憶から消去レベルのクズだと思うんだけど、
みこもちょっと馬鹿だからなー…馬鹿で、だからきっと優しいんだよな…
だから頼まれたらきっと応えてあげただろうみこの為にはベストな選択だったわけだけど、
同時に本っ当馬鹿な男の見栄だな!って思いました。
あそこでやっと一瞬正気に戻ったような表情に戻ったけど、だからこそ!馬鹿!
その目が覚めた状態で頼めばよかったんだよ!!
 
やり直そうとしてる女の子にそんなこと頼むのがみっともないのは分かるけど、
でもお前かっこよかったことないじゃん!
ずっとみっともなかったじゃん!
悔いた今こそ、最後の頼みの綱であるみこにお願いして、命助けてもらって、そこから立ち直れたら
それこそ本当に生きなおすチャンスだったんじゃないかなって。
最初から最後まで、中身のない見栄しかなかったなあと、思わずにはいられないよね…
あとなんでワインかけられるだけであんな絶叫するのかわかんない…
 
あと最後のツッコミどころとして
虫がすげえCG---------------!!なんであそこだけ無駄に!
いくら男の子とはいえ生の虫這わすのはNGだったんでしょうか…

 
樹海で置いてけぼり(そして多分助からない)純と、
ウェイトレスになって利息分を返済しきったりこ。
どうでもいいけど最後、みこのバイト先の先輩すげーかっこよかったね!
ガタイよくてね!

ウシジマくん&柄崎とみこが最後の利息のやり取りで向き合ってる中、
臆することなくダッシュでチャリ押して近づいてきてくれるのいいね!
そして何も聞かず、特別アプローチするでもなく、
爽やかにまたあした、って去っていく好青年。
みこ、この人素敵だよー! 
 
あとあれだ、別にウシジマくんがあそこで長く喋って綺麗にまとめんでも
全然大丈夫だったと思います。
この人時々めっちゃ浮くセリフ言うけど、原作もこういうこと言うのかしら…!
 
落ちていく一般人のところで落ち込ませ、
逆に闇金サイドで妙な可愛げやくすっとした笑いをとり、
スタッフロールをちょっとコミカルに仕上げて
なんとなく気分をあげさせて観客を解放するという、
こうして振り返りながら書いてみると「うまいな!」と思わせる映画でした。

 
面白かったです。
怖いしえぐいしクズばっかだしSAN値削れるけどな!!
そこがいいってんじゃなくて、その部分は本当に消耗するけど、
いろんなとこ計算されて上手に作ってある良い作品だなーと思いました。
脇役の人たちについても一人ずつ語れるくらい濃いんですけど、
もう既に大分長くなっているので今回はこれにて!
 
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